GIGAスクール目前!オンライン授業の手法とそのメリット・デメリット

先生向け

こんにちは!

公立学校でも一人一台のタブレットは配布されはじめていますね。

GIGAスクール構想はもう少し先の予定でしたが、

新型コロナウイルスによる休校を受けて、

次にいつ休校になっても、学びを止めないように、

との思いで前倒しになりました。

現状では休校措置をとることはない、と文科省が言っていますが、

そこで、「不登校生徒のために動画配信したい!」

と意気込んでいる先生もいらっしゃるかと思います。

今回は動画授業の手法の紹介とそのメリット・デメリットを紹介したいと思います。

学校の状況や生徒の状況、教員自身の負担などを考えて選択していただければと思います。

(そもそもオンライン授業の欠点である「データ使用量の問題」に関しては今回は触れません)

結構な長文になっていますので、お時間ない方は、

目次だけご覧いただいてもだいたいわかるんじゃないかな、と思っています。

前提

考えるオンライン授業の形式はまず大きく分けて以下の2通りです

  • 動画ファイルの共有
  • ライブ配信

「動画ファイルの共有」というのは、ビデオカメラやiPhoneなどを利用し、

動画を撮影、それをYoutubeなどの動画投稿サイトや共有のプラットフォームにて

生徒にアクセスしてもらう方法と定義します。

「ライブ配信」は今を時めくZOOMやGoogleのMeetなど、

オンラインミーティングシステムを用いて授業をリアルタイムで行うものです。

大学の講義はこちらが多いようです。

それぞれのメリットデメリットを見ていきましょう。

動画ファイルの共有

教員側のメリット

作業がどこでもできる

どのような撮影をするか、にもよりますが、

スライドを用いた授業をする場合にはパソコンさえあれば、

学校だけでなく、自宅でも作業が可能です。

普段通りに黒板の前で授業がしたい、ということであれば、

学校である必要もあるかと思いますが、

この機会にデジタル授業に挑戦されてもいいかもしれません。

マシントラブルが少ない

ライブ配信のデメリットの一つに、配信の不具合があります。

そうなると、向こうには全く届きませんので、授業が成り立ちません。

動画を撮影するのは、普段通り、動画を撮影するだけですので、

マシントラブルは比較的少ないと言えるでしょう。

ただし、スライドを用いた配信や、iPadでの画面収録などを使おうとしている方は

普段と違う撮影方法で慣れていないと思いますので、気を付けてください。

とはいえ、失敗してもやり直せばいいだけですので、

やはりライブ配信より安心感はあります。

加工・編集が可能

凝れば凝るほど良いものができるのが、動画ファイルです。

動画編集のスキルが必要ですが、字幕を入れたり、

効果音を入れたり、画像を入れたり……。

キリがないので、ほどほどに。

使いまわしが可能

一度撮った動画は半永久的に使用できます。

つまり、動画授業を作れば作るほど資産になり、後々楽になります。

夏休みの宿題に予習や復習として出すことや、

学習が遅れている子に補習として出すことにも応用できます。

新カリキュラムに対応したり、細かいところは手直しが

必要になってくるかもしれませんが、本課でなければ問題ないでしょう。

生徒側のメリット

何回でも見直せる

これが動画ファイル共有型オンライン授業の最大のメリットと考えています。

授業中でも、他の事を考えてしまったり、

ついウトウトしてしまうことありますよね。

そうなると、先生のしゃべっていることを

数分単位で聞き逃してしまうことになるのですが、

動画ファイルであれば、巻き戻してもう一度聞くことができます。

また、そうでなくても、一回聞いただけではよくわからなかった、

という場合に、二度三度と何回でも見直すことが可能です。

オンライン授業ならではの利点だと思います。

ただし、効率が悪いことと、本人のやる気次第、という点には注意してください。

いつでも見られる

不登校生徒には起立性調節障害など、朝起きられない子もいます。

そのような子がライブ配信の授業をされても、

その時間に起きて学習に取り組めるとは考えづらいです。

自分の調子のよいタイミングで好きに学習に取り組める、

それが動画ファイル共有型のメリットです。

通信環境の影響を受けづらい

後述しますが、ライブ配信では通信環境が悪いと

受講不可能なほど、酷いものとなってしまいます。

動画ファイルでも同じですが、Youtubeでは画質調節機能がありますし、

せいぜい止まるだけで、待てば再生できます。

しかしライブ配信では、止まる=置いていかれる、ということになりますので、

かなり厳しいものになります。

Youtubeにアップロードすれば速度調節ができる

Youtubeでは、画質調節で通信量をある程度削減できる機能の他、

速度調節機能もあり、冗長なしゃべりだと思えば1.25~1.5倍速で再生できるし、

早口なしゃべりだと思えば0.75倍~0.5倍速で再生することができます。

聞き取りやすくなったり、時間を節約したりすることができる、便利な機能です。

Youtubeには再生分析機能がある

Youtubeに動画をアップし、再生されると、

「どこで動画を見るのをやめたのか」などを見ることができます。

しかもYoutubeが勝手にデータをとってくれますので、特別な設定は一切必要ありません。

「誰が」までは分かりませんし、授業ですので全部見ることが前提かもしれませんが、

ここで集中力が切れたか…というような、自分の授業を振り返ることができます。

教員側のデメリット

作業に時間や労力がかかる

労をかければかけるほど良いものができるのは良い点ですが、

教員はYoutuberではありません(笑)

手を加えるのは程ほどにして、持続可能な取り組みとしたいものです。

撮影に失敗したときにダメージが大きい

マシントラブルのダメージが少ない、というメリットと矛盾するように思えますが、

失敗のダメージがないわけではありません。

撮影スタイルにもよりますが、労力を減らそうと思うと、

細かな動画を編集してつなげるよりも、一本撮りの方が楽です。

そうなると、間違ったところを修正するのに

大変な動画編集の労力が必要になります。

また、私がよくやったのは

「音入ってない!!!!」

ということでした。チーン

私がどのように動画を作っていたかは、また追々紹介しますが、

これはつらかったですね…。

他にも入れたつもりの録画ボタンを押せていなかった、

なども人によってはあるでしょう。

30分くらいしゃべって、ふーっと一息ついたときに、

全然撮れてないかったとわかった瞬間の絶望感と来たら……。

動画を見たかわからない・反応がつかみづらい

ライブ配信では出席確認ができますが、

動画を共有するだけでは視聴確認ができません。

私は、一緒にGoogleフォームのアンケートを添付し、小テストを行ったり、

理解度アンケートを毎回取って、出席確認としていました。

動画をアップロードするためのプラットフォームが必要

なんでもそうだ、と言われればそうなのですが、

動画を共有するための置き場が必要です。

Googleのアカウントを持っているのでしたら、

GoogleドライブやGoogleClassroom、Youtubeなどにアップロードができます。

学校でお使いのプラットフォームがあるのでしたらそちらでできますが、

まだ何も決まっていない、ということでしたら何を使うのか、

管理職とよく相談しないといけないと思います。

許可さえおりるならば、先述の速度調節などの機能から、

Youtubeにアップすることをオススメします。

その際は視聴範囲を限定公開のすることをお忘れなく。

著作権などの様々な権利問題が複雑

閉じたプラットフォームでアップロードするのならあまり問題になりませんが、

Youtubeは著作権などの権利問題には結構厳しいです。

「気楽な気持ちで動画を見てもらおう!」

と最近人気のあの曲をBGMに…ということをすると

音楽の無断使用で動画がアップできません。(もしくは即消されます。)

これは限定公開でも同じです。

また、問題になったのは、教科書や副教材などの出版社との権利問題です。

授業である以上、何かの教材を基に授業を行うと思いますが、

教科書の資料などを使うとアウトです。

難しいですね。

生徒側のデメリット

いつでも見られると思って結局見ない

いつでも見られるというのはメリットでもあるのですが、

結局のところ、本人のやる気次第です。

いつでもできるものは、いつになってもやらないというのが、

怠惰な人間の常です。

先ほどのアンケートの提出期限を設けるなどの工夫はしてあげましょう。

見ないとどんどん溜まっていき、手が付けられなくなって

余計やる気をなくしてしまうことも…

動画ファイル共有の生徒側のデメリットはこれくらいしか私は思いつきません。

ライブ配信

教員側のメリット

出席確認ができる

先述の動画ファイルのデメリットの逆で、

ライブ配信では参加者を確認することができます。

それで誰が出席しているか確認をすることができます。

その時にいないのは仕方がないですが、見ていないことがわかりますので、

あとからフォローができます。

特別な作業が必要ない

もちろん、どのサービスを使うのかや、配信設定、機材の設置などは必要となりますが、

それが終われば、普段通りの授業を配信すればOKです。

完全オンラインで教室に自分だけなのか、

普段通り生徒がいて、一部の生徒向けに配信するのかで

また状況は変わってきますが、いずれにしろ授業の形態を

大きく変える必要はなさそうです。

生徒に質問したり、表情をうかがうことができる

これはライブ配信にしかないメリットですね。

対面授業と同様に生徒に発問などを行うことができます。

ブレイクアウトセッションという機能では、

退室せずに、参加者を小グループにランダムで分け、

その中でディスカッションをさせるという機能もあります。

ただ、その様子を見ることはできないので、

話し合いがうまくいっているかどうかは、よくわかりませんし、

なかなか話し合いも盛り上がらない現状があるようです。

生徒側のメリット

その時間に視聴することとなり、習慣化しやすい

オンライン授業の課題はいかに学習習慣を普段の学校と同じにするか、

ということになります。

登校時間がなく、ずっと家にいるという状況から、

なかなか、スイッチが切り替えられない、という子は多くいます。

(大人もそうですよね)

ライブ配信であれば、動画配信と違い、その時間しか見られませんから、

時間を合わせることになります。

時間感覚が身につくのではないでしょうか。

先生にみられているので緊張感がある

メリットなのか、デメリットなのか微妙ではありますが(笑)

動画ファイルを視聴する場合では、

誰かに見張られているわけではありませんので、

リラックスして視聴することができます。

ただ、その分、ついウトウトとしたり、携帯に手が伸びたりしがちです。

一方、ライブ配信では、自分の様子が写っているわけですから、

見張られているようなものです。ウトウトしていたり、

携帯を触っていたら、すぐにバレます。

普段のような緊張感で授業を受けることができるのではないでしょうか。

教員側のデメリット

間違いを訂正しづらい

ライブ配信でそのまま発信されてしまいますので、

間違いがあったときの訂正がしづらいのがデメリットとして挙げられます。

もちろん、通常の対面授業でもそうですが、オンライン授業では、その授業時間しか

つながりがないため、あとからの訂正がしづらい、ということがあげられるかと思います。

セキュリティの心配

一時話題になりましたが、ZOOM爆撃の話です。

ZOOMのセキュリティの問題から、見ず知らずの人が参加し、

不適切な画像のアップロードや、いたずら書きを行うということで問題になりました。

そのような乱入事件の可能性もありますが、ZOOMの社運をかけて、全力で対策を行い、

今ではもうほとんど心配はないと思います。

あれ以降そんな話も聞きませんね。

マシントラブルのダメージが莫大

先述(動画ファイル共有のメリット)の通り、

機材の不調や送信側・受信側の設定ミスで、配信されていなかった、

となると、その時間が無駄になってしまいます。

ライブ配信のメリットは決まった時間に配信することで、

全員が予定を合わせて参加することなので、

不備があれば、全員を待たせることになります。

最初から配信できていないことが分かっていればまだよいのですが、

自分はスタートしたつもりでも、実はできていなかった!

ということになれば、もう悲惨です。

事前確認をしっかり行い、もし配信できていない場合の連絡先も伝えておきましょう。

生徒側のデメリット

ネット環境によって受講ストレスが大きく左右される

これがライブ配信型の最大のデメリットだと思います。

ネット環境が不十分な家庭では莫大なデータ通信を使用する動画を

スムーズに再生するのが難しいです。

「でもそれって動画配信でも同じでは?」と思われるかもしれませんが、

動画配信と違って、ライブ配信は、「聞き逃したら終わり」です。

ぶちぶち途切れながらライブ配信を聞いても、

何を言っているかさっぱりわからないまま、イライラしながら終わります。

なんともったいない。配信側のネット環境もありますので、

送信側・受信側お互いがきちんとやり取りできる環境かどうか

事前に確認しておくのが無難です。

ネットストーカーをはじめとしたプライバシー問題のリスク

実はこれも大きな問題です。

ほとんどのオンラインミーティングアプリでは、

スピーカービュー(話し手を大きくする表示)と

ギャラリービュー(参加者全員を同じサイズで表示)に加え、

任意のユーザーを大きく表示する機能があります。

私が使っていた頃の話なので、今は変わっているかもしれませんが、

ホスト(開催者)がビュー設定をできないため、

ユーザーがビューの切り替えを好きに行えるため、

顔出し前提の受講では、「イタズラで友人の顔をスクリーンショットで撮る」

「好意を寄せる子の顔を眺める」などの嫌がらせが生じる可能性があります。

私としてはここに危機感を持っています。

また、自室で受講することが前提になりますので、部屋の様子も分かります。

ZOOMには背景を画像で代用をする機能がありますので、

もし顔出しを前提にライブ配信授業を行うのでしたら、

この機能を推奨する、もしくは画面に部屋の様子が写り込まないよう、

壁の前で受講する、など背景に注意を呼び掛けてください。

ZOOM疲れ

最近は『ZOOM疲れ』というものも話題になっています。

ライブミーティングでは、普段以上に集中力を使い、

脳に負担をかけるとのこと。

確かに、普段と同じと思っていても、実は結構違うものです。

・自分の顔がアップで映るので緊張する。

 (普段は距離がありますが、オンラインではカメラです)

・横に人がいるわけではないので、雰囲気・空気感をつかみづらい

・淡々と進むので、気分転換がしづらい

オンライン会議など経験のある方はわかるかもしれませんが、

オンラインになると、オフラインでやるよりも、

全然盛り上がらないんですよね。

やる側はラジオDJに学ぶと良いのではないでしょうか。

(楽しそうに独り言が言える力が必要…)

大学生に話を聞いても、「ZOOM授業嫌だ」と言っている子もいますし、

結構ストレスになっている人は少なくないのかもしれません。

まとめ

長々と説明していきましたが、

簡単にまとめると、

・動画ファイル共有 → いつでも何回でも見られる

・ライブ配信 → その時間に固定

となります。そこにどんなメリットやデメリットを感じるかは

人それぞれだと思います。

全体的に、動画ファイル共有の方が、自主的な授業形態になりがちで、

ライブ配信の方が、従来の授業に近い形になるイメージです。

どちらにもメリット・デメリットがありますので、

目の前の生徒児童の発達段階や学習状況に応じて、

選択していただくことになるかと思います。

追記

最近はClass for ZOOMという教育向けサービスも始まったようです。

私はこれはまだ触ったことがないので、書けませんが、

こちらの方が、わかりやすくまとめてくださっています。

Class for Zoom誕生!早速解説します。授業でZoom使うならこれ一択!|わきた #教育 #Web3
今やオンライン会議・オンライン飲み会・オンライン授業の代名詞でもあるZoomですが、Zoomは学校向けに作られたアプリケーションではありません。授業で使うには少し使いづらい部分もありました。 そんなZoomですが、この度、学校向けの最強アドオンが登場しました。その名もClass for Zoom! どんな特徴がある...

これは感動。また触ってみたいと思います。

以上です。

ご覧いただきありがとうございました!

何か、書いてほしいテーマありましたら何かしらご連絡いただけると嬉しいです。

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